企業メセナ協議会 新体制発足に伴う記者懇談会
4/10、「企業メセナ協議会 新体制発足に伴う記者懇談会」を開催しました。 会場は汐留・電通本社ビル44階、海を見渡す明るい陽射し差し込むレセプションルームにて、コーヒーを楽しみながらの懇談会となりました。まずは髙嶋会長、尾﨑理事長より記者の方々に新任のご挨拶。
続いて尾﨑理事長、加藤専務理事より今後の協議会の展開についてお話させていただきました。
内容をかいつまんでご紹介すると―
髙嶋会長からは、
「協議会は来年3月に25周年を迎える。目的も当初の企業による芸術文化支援から、昨今では芸術・文化を通じた社会創造へと大きく変革し、活動領域も内容も充実してきている。」
と現在のメセナ協議会の立ち位置をお伝えしたあと、国際会議の開催など、世界への情報発信やネットワーク形成の重視を表明。
「協議会の活動は一見地味だが、地道にやることが大切で価値がある。一人でも多くの人にメセナ活動を理解してもらうよう取り組んでいく。」とのコメントが印象的でした。
また、尾﨑理事長からは事業内容をご案内しました。
「2014~2015年は『コーポレート・メセナ・イヤー』と銘打ち、■幅広い文化観の提案による、多様なメセナの発信■多彩なネットワーク形成による、文化振興プラットフォームの実現■日本のメセナを国際的にアピールし、文化交流による双方向理解を促進」の三本柱で事業を推進する。」と説明し、「日本の企業メセナ活動は世界に誇れるレベルにある。行政に先駆けて日本の文化を支えてきた歴史があり、企業・企業財団のメセナ活動費総額は国の文化予算に相当する規模だ。国際会議をビジネスセクターにおける文化交流ネットワーク構築の契機としたい。」と展望しました。
今年から、顕彰事業「メセナアワード」を新たな認定制度「This is MECENAT」と連動させ、メセナの認知度を高める新たな枠組みが発足。
メセナフォーラムや国際会議を開催して国内地域ネットワークおよび国際ネットワークの形成をはかるなど、新しい施策が目白押し!
さらに、加藤専務理事は「『ニュー・コンパクト』の継承発展 文化による社会創造、2020 年に向けた取り組み」(PDF)を発表。
これは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を視野に入れた、日本各地でのメセナのいっそうの強化による地域経済・社会の再生と、国際的なネットワークづくりに向けた取り組みに関する提言です。
特にアジア地域における文化交流の促進と、一過性ではなく20年以降も続く文化や社会創造の基盤整備を重要視。 また、数値目標として、企業セクターによるメセナ活動費総額を現在の811億円超から2016年に1000億円超とすることを掲げました。
こうしたメセ協の取り組みをお伝えしたあと、記者のみなさまからさまざまなご質問をいただきました。
いくつかご紹介すると―
Q1:メセナの可視化・周知を広めたいということだが、メセナの認知度は低いのか。
尾﨑理事長:特に一般への認知は、メセナは企業による芸術文化支援というところにとどまっていて、必ずしも現状の幅広いメセナ活動については周知されていないのではないか。
これからメセナが社会創造を進めていくうえで、一般の方々の理解、メセナ活動を生活に密接なものとして認識いただくことが欠かせない。
社会を変えるためには企業だけでなく、一般の方を含む広いセクターの理解・協力が必要。
Q2:社会課題の解決という姿勢は今までのメセナ協議会にないものだと感じたが、組織のなかでそうした意識が高まっているのか?
尾﨑理事長:日本には地域活性や少子高齢化などの社会課題があるが、芸術や文化が培う豊かな感性が人々の生活を幸せにし、社会をよりよくしていくことができる。
社会課題とメセナ活動を融合させ、より創造的な社会をつくる、そういう形を目指していくべきだろう。
Q3:メセナ活動費総額1000億円を目指すにあたり、会員数を増やすなど方策はあるのか。
加藤専務理事:まだメセナ活動をされていない企業や新進の企業にメセナ活動への参入を促すとともに、多数の地場企業が地域の活性化に取り組んでいるので、その応援をしていくことで、目標額に達したい。
Q4:今回の提言のなかで、「企業各社の社会創造のための文化支出額の基準は、経常利益の0.3%程度を目標とする」とされているが、その根拠は。
加藤専務理事:例年行っている「メセナ活動実態調査」結果より、主たる回答企業のメセナ活動と経常利益を比較しておおむね0.3%という数字が示せる。
Q5:This Is MECENAT導入により、今までの「メセナアワード」もその枠組みに入っていくのか。
加藤専務理事:世の中にはさまざまなメセナ活動があるが、アワードでは抜きんでた7件しか表彰できない。
「This is MECENAT」は全国の地道な活動を可視化する制度で、メセナ活動を広く認めていく。
今後は、アワードもこの「This is MECENAT」のなかから選出していく。
などなど、さまざまな角度からのご質問をいただき、協議会への理解を深めていただくことができました。
特に、企業メセナの目指す「芸術・文化振興による社会創造」という協議会の姿勢を記者のみなさまにお伝えできたことは大きな収穫でした。
和やかな雰囲気のうちに、質問タイム終了。そして、写真撮影大会となりました!
髙嶋会長、尾﨑理事長、加藤専務理事の3名が手を携えて、協議会をリードし豊かな社会づくりに臨む気概に満ちた会となりました。
(2014年4月25日)