メセナアワード

メセナアワード2023

[大賞]メセナ大賞

一般財団法人セガサミー文化芸術財団

Dance Base Yokohama

活動内容

セガサミー文化芸術財団は、文化・芸術活動の発展への寄与を目的に2019年に設立された。音楽部門、映像部門、舞踊部門などを展開し、舞踊分野では2020年にダンスハウス「Dance Base Yokohama(DaBY)」を横浜・馬車道にオープン。日本の舞台芸術の創作環境の改善を目指し、「ダンスを拓く」をミッションに掲げ、アーティスト、スタッフ、観客に向けた実験的な取り組みを行う。
アーティスト支援としては、プロフェッショナルなクリエイターによるダンス作品の創作やリサーチの場を提供し、活動の成果発表の場としてトライアウト公演を実施する。官民連携を行う愛知県芸術劇場から唐津絵理をアーティスティックディレクターとして迎え、DaBYで創作した作品を愛知県芸術劇場で上演する取り組みを行うほか、さらに全国の劇場やフェスティバルとも連携し作品の再演と発展につなげる仕組みをつくっている。また、若手のサポートを目的に、海外在住の一流ダンサー、音楽家・美術家・研究者など異ジャンルの専門ワークショップ、法律に関するセミナーなども行い、多様な交流機会を創出し、ダンサーの自立を後押ししている。
また、創作プロセスの一般公開や情報発信、劇場にアクセスしにくい人に向けたプログラムも試みる。視覚障がい者をモニターに迎え「ダンス観賞とは何か」を考え、新たな表現の可能性を見出す実践と対話の研究会や、関内駅南口広場を舞台にパフォーマンスや公開クリエイション、過去のアーカイブ映像・書籍展示などの同時多発イベントも開催。公共空間の魅力の発信とともに、ダンス文化への理解や普及に努める。
さらに、世界的な作品の招聘や海外カンパニーとの連携公演など、国際的な交流も拡がる。誰もが垣根なく集えるプラットフォームを築き、業界の改革に挑戦している。

評価ポイント

アーティストの創作活動と多様で実験的なプログラムを通し、ダンス文化の発展に寄与している。
社会に開かれた場をつくり、全国、世界へとダンスにかかわる人々の交流を促進し、業界全体の改革に向けて挑戦している。

団体プロフィール

本社所在地:神奈川県横浜市
創立年:2019年
資本金:1,049億8,600万円
正味財産:2,462万7,799円
職員数:10名
主な事業:音楽、舞踊の振興・普及
URL:https://www.segasammy.or.jp/
(2023年3月現在)

受賞スピーチ

一般財団法人セガサミー文化芸術財団 代表理事/
セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役社長 グループCEO 里見治紀 様

ダンスを通じて社会をもっと元気に、カラフルに

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[優秀賞]ここから才能が育つで賞

清水建設株式会社

シミズ・オープン・アカデミー

活動内容

清水建設技術研究所は、1944年に設置されて以来、常に「10年後を準備する」使命のもと、研究開発、また開発技術の実証や情報発信の拠点として新たな技術と価値を創造している。「シミズ・オープン・アカデミー(SOA)」は、青少年にものづくりの楽しさや建設のおもしろさ、奥深さを伝えていきたいという想いから2008年に開講した。技術研究所の実験施設を活用した多彩なプログラムを通して、青少年に建設への関心を深められる機会を無償で提供している。
小学5年生以上が対象の「テクニカルツアー」では、平日120分で講義と施設見学を行う。【建設 現在・未来】【安全・安心】【環境と建設】など、年代に合わせた7つのテーマを研究員がわかりやすく解説した後、実験棟において、地震や強風が建物におよぼす影響や、快適な室内環境をつくり出す工夫などを実際に見て、触れて、体験することができる。コロナ禍を受け、2020年には「オンライン講座」を開設。通常の見学では入れない場所や実験映像も取り入れたオリジナル動画による施設見学は、全国各地の学校をはじめ海外からの申し込みも増え、再受講も多い。
また、建設技術の最新動向を学べる一般向けの「セミナー・シンポジウム」や、夏休みには高校生対象のセミナー、土木学会と連携した近隣小学校の見学会、地域住民向けの見学会などの「イベント」も開催。 「出張講座」は、国内だけでなく海外でも実施し、SOAの累計受講者数は5万9,000人を超えている。
近年では進路学習やインターンシップを目的とした学校の依頼も増え、SOAに参加し建設業を志した新入社員も出てきた。日常では得難い体験を通し、未来のものづくりや建築の担い手たちの夢を拡げている。

評価ポイント

最新の建設技術を楽しく伝える工夫により、建設分野の理解と裾野の拡大に貢献している。
広く国内外の学生に向けて質の高い学習機会と体験の場を提供し、人材育成に寄与している。

企業プロフィール

本社所在地:東京都中央区
創業年:1804年
資本金:743億6,500万円
従業員数:10,845名(2023年3月31日現在)
主な事業:建築・土木等建設工事の請負(総合建設業)
URL:https://www.shimz.co.jp/
(2023年9月現在)

受賞スピーチ

清水建設株式会社 代表取締役社長 井上和幸 様

日本のものづくりを支える若者たちの才能を育てていく

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[優秀賞]アートがチャームをつなぐで賞

株式会社チャーム・ケア・コーポレーション

若手アーティストと高齢者をつなぐ、チャーム・ケア・コーポレーションの文化支援活動「アートギャラリーホーム」

活動内容

「豊かで実りある高齢社会」づくりに貢献することをミッションとし、首都圏や関西圏を中心に有料老人ホームを展開するチャーム・ケア・コーポレーションは、若手アーティストと高齢者をつなぐ「アートギャラリーホーム」の活動を展開している。
同活動は募集対象を卒業後10年以内の若手アーティストに限り、審査員による作品選考、表彰式および作品展を開催している。また、選出された作品は同社が買い取り、運営する施設内で常設展示される。2014年の活動開始以降、選出・展示された作品は約1,200点、アーティストは約330人。収蔵作品とアーティストのプロフィールを閲覧できる専用ホームページ(https://www.aghccc.com/)も公開しており、若い世代のアーティストの支援とともに情報発信も積極的に行う。施設内での作品展示は、入居者と施設で働くスタッフにとっての魅力的な空間づくりにもつながっている。
さらに応募アーティストによる入居者向けのアートプログラムも開催している。この取り組みは、アーティストと入居者が双方向コミュニケーションをとることを目的とし、東京都美術館と東京藝術大学が連携する「とびらプロジェクト」のアートコミュニケーターのサポートも得ながら、入居者による作品制作とその鑑賞会を開催する。アーティストとのコミュニケーションや入居者同士の会話が活発となり、入居者のウェルビーイングが向上するとともに、アーティストもよい刺激や気づきを得る機会となっている。
「アートギャラリーホーム」の活動は、介護事業を展開する企業ならではの視点を活かした社会課題解決のための取り組みとして、今後さらなる発展が期待される。

評価ポイント

アートを通じて若手アーティストと高齢者をつなぐことで、双方がともに学びや刺激を得る場づくりがされている。
介護事業を展開する企業ならではの視点を活かした社会課題解決に取り組んでいる。

企業プロフィール

本社所在地:大阪府大阪市
設立年:2005年
資本金:27億5,900万円
職員数:2,893名(パートタイマー、嘱託含む)(2023年6月30日 現在)
主な事業:有料老人ホーム等の運営(介護事業)、有料老人ホーム等ヘルスケア不動産の開発(不動産事業)等
URL:https://www.charmcc.jp/
(2023年9月現在)

受賞スピーチ

株式会社チャーム・ケア・コーポレーション 代表取締役会長 兼 社長 下村隆彦 様

高齢者の心を豊かにし、若手アーティストの支援につなげる

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[優秀賞]伝統と革新の技で賞

日機装株式会社

公益財団法人 宗桂会の創立、活動支援

活動内容

産業用特殊ポンプや航空機のエンジン部品、血液透析製品などを製造する日機装。創業者の音桂二郎は、石川県の伝統工芸である加賀象嵌の名門・山川孝次家の系譜であり、戦後のハイテク産業を興した技術者として、自らのものづくりの原点と矜持を精緻な加賀象嵌の技に見出していた。日本が誇れる技の継承発展のために、1993年、金沢製作所の開所とともに財団法人宗桂会を創立、加賀象嵌の技術保存や育成・普及事業を展開している。
毎年、加賀象嵌の資料保存として、歴史的価値が高い名品をはじめ若手作家の作品を積極的に収集しており、同所敷地内にある宗桂会館で常設・企画展示し無料で一般公開するほか、他館へ貸出も行っている。また、加賀象嵌をはじめ金工や工芸全般の魅力を発信する会報誌「Decoration」の発行やカレンダー制作、近隣小学校での出張講座や県内外の体験イベントなど、普及・宣伝・育成にも取り組む。
1998年からは伝統技法の習得を目的に、金沢市から委託を受けて「加賀象嵌・彫金専門塾」を運営。重要無形文化財「彫金」保持者(人間国宝)の中川衛氏が講師を務め、塾生は技術力や経験年数によってコースに分かれ、最大6年間の研修に励む。広く市民から募集し、2023年第10期は9名が入塾した。また、月浦町の古民家を改装して2008年に「月浦工房」を開所、若手金工作家へ制作活動の場を提供するほか、助成や表彰も行う。
現在は工房の卒業生11名が作家として活躍し、専門塾修了生の中には公募展に入選する者も出てきている。地域の伝統技術は着実に受け継がれ、豊かな文化の輪が広がっている。

評価ポイント

加賀象嵌の保存と普及により、市民の交流を生み、地域文化の価値向上に寄与している。
後継者育成の場や表彰などの継続支援により、伝統技術の継承と発展に貢献している。

企業プロフィール

本社所在地:東京都渋谷区
創業年:1953年
資本金:65億4,433万円
従業員数:連結:7,944名、単体:2,040名
主な事業:インダストリアル事業、航空宇宙事業、メディカル事業等
URL:https://www.nikkiso.co.jp/
(2023年6月現在)

受賞スピーチ

日機装株式会社 代表取締役社長 甲斐俊彦 様

加賀象嵌の普及と後継者育成に一層力を入れていきたい

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[優秀賞]明日香に明日が香るで賞

株式会社長谷工コーポレーション

奈良県明日香村における歴史・景観保全活動及び地域活性化への取り組み

活動内容

奈良県明日香村は、飛鳥時代の宮跡や古墳が数多く遺され、村全域が歴史的風土保存の対象となる一方、高齢化や空き家問題などの課題を抱えている。企業理念「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」を掲げる長谷工グループは、村産野菜を管理するマンションで販売していた縁から、2017年に明日香村および一般財団法人明日香村地域振興公社と「官民連携に関する包括協定」を締結。古都飛鳥の歴史保全活動並びに明日香村の産業および地域活性化を図るためのプロジェクトを実施している。
主な取り組みに、企業版ふるさと納税による寄付を活用し、牽牛子塚(けんごしづか)古墳の復元整備事業などを実施。新たな観光スポットを創出するほか、都市部からの関係人口増加を目的に、貸し農園事業「長谷工明日香コミュニティファーム」を運営。年間契約で1区画(25㎡)から借りられ、収穫体験もできる。農業未経験者と知識豊富な村民のふれあいの場として、これまでに延べ850名が参加。また2020年に明日香村および国立大学法人奈良女子大学と「産官学連携に関する包括協定」を締結。具体的な活動として、築400年超の茅葺古民家の測量実習や活用に向けた意見交換も行っている。
さらに、2021年には新会社「長谷工ヴィレッジライフ」を設立し、地域活性化事業や宿泊施設運営事業に取り組んでいる。自社建設事業のノウハウを活かして築150年超の古民家を買い取ったうえで改修し、2022年に古民家ホテル「ブランシエラ ヴィラ 明日香」をオープンさせた。
そのほか飛鳥ハーフマラソンへの協賛や社員ボランティア活動で、地域の魅力発信に務める。明日香村を『堪能する』、『経験する』、『居住する』仕組みを多角的に築いている。

評価ポイント

企業・行政・大学との協働により、地域の魅力を多角的に発信し、活性化に寄与している。
経営資源を活かして地域の価値を高め、交流人口の拡大へさらに発展することが期待される。

企業プロフィール

本社所在地:東京都港区
創業年:1937年
資本金:575億円
従業員数:2,523名(2023年6月現在)
主な事業:建設事業、不動産事業、エンジニアリング事業
URL:https://www.haseko.co.jp/hc/
(2023年8月現在)

受賞スピーチ

株式会社長谷工コーポレーション 取締役執行役員 吉村直子 様

いにしえから続く明日香の未来をともにつくる

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[優秀賞]「願い」をアートで描くで賞

株式会社広島マツダ

WALL ART PROJECT "2045 NINE HOPES"

活動内容

広島県で1933年創業し、1945年8月、全社員と社屋が原爆の犠牲となりながらも、広島の復興の歩みとともに事業を展開し発展している広島マツダ。2016年「復興と未来」をテーマとし、明るい夢や希望を世界に発信することを願い、原爆ドームそばにおりづるタワーをオープンした。
アートプロジェクト「WALL ART PROJECT "2045 NINE HOPES"」は、2022年、おりづるタワーの壁9層に広島にゆかりのあるアーティスト9名が、戦後100年の節目にあたる2045年への「願い」をこめて、約4m×24mのウォールアートを制作し公開しているプロジェクトである。
9層のウォールアートは、おりづるタワー東側らせん状スロープ「散歩坂」の1階から屋上展望台まで歩いて上り下りができるオープンエアの開放的なエリアに設置されている。吹き抜ける風を感じながら、中四国最大の都市として復興を遂げた広島のまち並みとともにウォールアートを鑑賞できる。
参加アーティストは、版画家 土井紀子、美術作家 若佐慎一、アーティスト SUIKO、ビジョンプロジェクター 田中美紀、漫画家 こうの史代、現代美術作家 山本基、美術家 三桝正典、切り絵・絵本作家 毛利まさみち、洋画家 三浦恒祺。20代から90代と幅広い世代にわたるアーティストが、それぞれの後世に残したい2045年への「願い」をウォールアートで表現している。
原爆投下から100年後に向け、「哀しみ」だけではなく復興を遂げ、力強く生きる広島の人々の「願い」を伝えたいと広島マツダ・おりづるタワーの「WALL ART PROJECT "2045 NINE HOPES"」の活動は、国内外から訪れる人々がそれぞれの2045年に向けた「願い」も託し、「未来」を考える場を提供する唯一無二のアートプロジェクトとなっている。

評価ポイント

原爆ドームそばに立ち、緑豊かなまち並みを見渡すおりづるタワー。復興を遂げ、発展し続ける広島を発信している。
未来に向けた広島の「願い」をアートの力で伝えている。

企業プロフィール

本社所在地:広島県広島市
設立年:1933年
資本金:8,000万円
職員数:565名(2022年12月現在)
主な事業:マツダ車の販売、不動産事業、ICT事業、観光事業、飲食事業等
URL:https://www.hiromaz.co.jp/
(2023年9月現在)

受賞スピーチ

株式会社広島マツダ 代表取締役会長 兼 CEO 松田哲也 様

広島 おりづるタワーに復興の希望を込めて

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