メセナアワード

歴代トロフィー

『The seed of light』

2018-2020 トロフィー制作

『The seed of light』
2020年
素材:ガラス
サイズ:H120×W120×D120mm
撮影:佐藤 茂

青木美歌|あおき みか

青木美歌

撮影:Hiromi-Shinada

平成29年度ポーラ美術振興財団在外研修員としてアイスランドにて研修。武蔵野美術大学卒業後、文化庁新進芸術家海外研修制度にてイギリスへ留学。RoyalCollege of Art修士課程修了。菌類やウイルス、植物細胞など、有機的なフォルムをモチーフに、目に見えない生命の在りようをテーマとした作品を発表している。
作家WEBサイト

作品紹介『The seed of light』

多様化するメセナ活動に共通するモチーフを考えた際に、種子の形態のイメージがアイディアの中に出てきました。それは、活動に携わった人々は皆、輝く種を受け取るような行為になると感じたからです。一人ひとりの中で感性が育まれ、いずれ花を咲かせたり、大きな木になるなど、豊かな森のような社会をつくる担い手になっていく可能性を秘めています。活動に参加する人にチャンスを授けること、それが未来につながっていくことから、“The seed of light”(光の種)というタイトルをつけました。
光があたることで、キラキラと煌きます。吹きガラスのテクニックで制作しており、一つひとつが個性を持った形態をしています。ガラスという素材が持つ有機的な表情や、光を透過させたときに発生する影もお楽しみいただけましたら幸いです。

『マエケナスの庭』

2015-2017 トロフィー制作

『マエケナスの庭』
2015年
素材:アクリル、紙、絹糸、アクリル絵具
サイズ:H350×W350×D19mm
撮影:佐藤 茂

悠(はるか)

2001年に独学で切り絵制作を開始。12年、スパイラルが主催するSICF13にて南條史生賞。以後、VIVIENNE TAMとの服飾商品コラボーレーション、同ブランド青山店にて個展、ラディウム レントゲンヴェルケ(東京・日本橋)の取り扱いで国内外の展覧会に出展するなど、精力的に活動を展開している。
http://haruka-thread.tumblr.com/

作品紹介『マエケナスの庭』(3年連作)

人が実用以外のものをつくりはじめた時、文化や芸術そして思想が生まれ、その瞬間に人が人として生き始めたのではないでしょうか。古代ローマ時代に、豊かな感受性を持つ芸術家の理解者となり手厚く擁護した高官マエケナス(Maecenas)の名をもとにして、メセナという言葉が生まれました。人が人としての心を保つ、大切な流れを培った彼のいとなみと、芸術・文化を通して豊かな社会づくりをするメセナ活動を重ねて、作品『マエケナスの庭』を制作しました。
ものごとはごく自然に、気づくと一つの流れができていて、それが「文化」と名付けられます。水面下で流れに身を委ねながらも、自らの流れをつくろうとする魚の尾ひれ。水の流れと、その中で意思を持つ尾ひれ、そして水面上に尾ひれの動きが伝わり波になる様子を表すように、部分的に銀糸の刺繍を施しました。

『あした(朝日)』

2012-2014トロフィー制作

『あした(朝日)』
2012-2014 三部作
素材:アクリル、ステンレススチール
サイズ:H400×W400×D120㎜
撮影:鈴木孝正

川上幸子(かわかみ さちこ)

1984年生まれ。2009年京都造形芸術大学大学院芸術表現専攻修士課程修了。大学では一貫して彫刻を学ぶ。「知覚と造形」をテーマとし、近年は特に「知覚における“見え”」を主軸に、「目で触れる」感覚を追った造形作品を制作。ミニマルな方法論・素材の特性・描画技法の組み合わせで、平面の支持体の中に視覚的触感のある図像を生み出している。10年「SICF11th」にてスパイラル奨励賞を受賞。
https://sachikokawakami.com/

制作コンセプト―relation

芸術文化を通して、人々が分野を超え時を超え繋がっていかれるよう願いを込め、一本の線を積み重ねることで個々のトロフィーの図像がひとつに繋がって紡がれてゆくアートワークを制作します。それぞれの取り組みはもちろん、それが連なった時にも、また別の大きな夢を描けるよう、繋がり受け継がれるような絆が結ばれることを願います。

テーマ―Licht

「Licht」はドイツ語で「光」や「明るさ」、そして「希望」を意味します。各年の各賞、三年間連続した大賞に刻まれている図像は、徐々に夜明けを迎えて、“雲間から光が広がる空の時系列”を追ったイメージを持って紡がれます。

2012年 – 2014年 大賞 『あした(朝日)』
2012年 各賞 『あかつき』
2013年 各賞 『しののめ』
2014年 各賞 『あけぼの』

『塔-tower 2009』

2009-2011トロフィー制作

『塔-tower 2009』
素材:アルミニウムに着色
サイズ:H513×W140×D161mm(左)H353×W140×D161mm(右)

佐藤好彦(さとう よしひこ)

1968年埼玉県出身。1993年東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。現代人の生活に無意識に溶け込んでいる大量生産された製品を素材に、「伸ばす」「増殖する」などのアレンジによって、 そこに潜む機能や形態のエネルギーを増幅させた彫刻を制作。「キリン・アート・アワード2002」にて最優秀作品賞。2005年「6th SICF   スパイラル・インディペンデント・クリエーターズ ・フェスティバル」にて準グランプリ受賞。
http://yoshihikosatoh.net/index.html

制作コンセプト

芸術文化は人々の表現活動によって成長する塔のようなもの。その塔からは遠い世界を見渡すことができ、皆が共有する財産であり、象徴であり続けます。どれほど政治、経済が発展しても、この塔が機能しなければ人々の暮らしは決して豊かとはいえないでしょう。

2009年:BLUE「精神力」
テーマカラー「BLUE」は、人間のみが持ちうる知性や精神をイメージし、精神力が芸術文化を支えていることを表しています。

2010年: GREEN「自然力」
GREENは「自然力」を意味し、芸術文化が地球環境と密接な関係のうえに成り立っており、メセナが植物のように力強く伸びゆくことをイメージしています。

2011年:VIOLET「想像力」
VIOLETは古くから高貴で貴重な色として扱われ、また神秘的な色として芸術文化支援のメセナにふさわしいことから、「想像力」「芸術的」といったイメージを表現しています。

※「メセナ大賞部門」のトロフィー制作にあったては、(株)ワコールアートセンターにご協力をいただきました。

『蒼‐2006』

2006-2008トロフィー制作

『蒼‐2006』
素材:ガラス積層
サイズ:H39×W20×D17cm

生田丹代子(いくた によこ)

ガラス作家。京都市生まれ。京都薬科大学卒業後、創作活動を開始する。1982年より国内外の作品展に出品、1985年には第2回インターグラスシンポジウム(チェコスロバキア)にて招待制作。1987年ローザンヌ装飾美術館(スイス)にて個展を開催。以後、国際ガラス展などで数々の賞を受賞。東京国立近代美術館、ボイマンス・ベウニンゲン美術館(オランダ)などが作品を所蔵。現在、京都のアトリエにて制作活動中。

制作コンセプト

一枚一枚板ガラスを切り、とがったコバをとり、一枚ずつ重ね合わせた板ガラスが作品となります。光はガラスの断面で反射したり透過したりします。光が変化すると反射する面も変化し、作品の表情が変わります。作品は光により生命を与えられます。文化が人々の日々の暮らしから時を重ねて育まれることと似ているように思います。

※「メセナ大賞部門」のトロフィー制作にあたっては、アートフロントギャラリーにご協力をいただきました。

『光のトロフィー』

2003-2005トロフィー制作

『光のトロフィー』
素材:ステンレス、LED、アクリル、ポリエステル樹脂、モーター他
サイズ:H30×φ10cm
受賞者がトロフィーを手にするとLEDが発光しながら回転し
光の残像現象によりトロフィーの形が現れる。

篠田太郎(しのだ たろう)

1964年、東京生まれ。造園家、グラフィックデザイナーを経て95年より美術作家として活動。科学や哲学のアイディアを独自の解釈でアートに展開している。

制作コンセプト

50年前、電子の構造が明らかになったとき、世間は「なんの役にたつのか?」と問いました。応用科学と違って基礎科学はロングタームで物事を考えるので、すぐに実用に役立つものではない。しかし後世の人類にとって莫大な価値を生む。――これは宇宙科学研究所の的川博士の話ですが、文化にもあてはまる考え方のような気がします。企業のメセナ活動は、遠い将来に必ず利益をもたらすことにつながると信じます。今回のトロフィーは、時空間の基準となる〈光〉をテーマにしました。これはメセナが、文化の基礎を発展させる光となることを願うものです。

※トロフィーの制作者は、東京オペラシティアートギャラリーの堀元彰氏に協力いただき、指名コンペティションを実施して選びました。

『RADICAL PLANT ラディカル・プラント』

2000-2002トロフィー制作

『RADICAL PLANT ラディカル・プラント』
素材:ブロンズ鋳造、黒御影石台座
サイズ:H37×W18×D12㎝ 3㎏

鷲見和紀郎(すみ わきろう)

彫刻家。50年岐阜市生まれ。72年、Bゼミスクール修了後、彫刻家・三木富雄のアシスタントを経て、76年ニューヨークに滞在。86~87年、日仏芸術家交流計画により在仏。99~2000年、文化庁特別派遣芸術家・在外研修員としてリヨンに滞在。個展・グループ展歴多数。

制作コンセプト

メセナ大賞の意味を考えた時、新しさの追求のみにとらわれないで、よりラディカル(根本的)で持続的な営みに対して光を当てることこそ、ふさわしいと思いました。
21世紀を控え、ニューメディアとハイテクノロジーの時代といわれる今、あえて伝統的な素材(プロンズ)と古典的な主題で作品を作ってみました。
主題は「水と花〔水と生命の成長〕」です。文化活動を成長する植物のイメージとすると、メセナ活動はまさしく水にたとえることができるでしょう。

※トロフィー制作者は、セゾンアートプログラム代表の難波英夫氏に協力いただき、指名コンペティションを実施して選びました。

『サポート』

1997-1999トロフィー制作

『サポート』
素材:透明樹脂に黒の染料、内側凹部に金箔
サイズ:H33cm×W11cm×D11cm

中村哲也(なかむら てつや)

1968年千葉県生まれ。東京芸術大学で漆芸を学んだのち、ものの表面の魅力、重要性を生かした彫刻作品を制作している。新作を発表している。新作を発表するたびに素材や技法を変えているが、外見を中身のギャップへの関心と、手作業へのこだわりは一貫しており、最近は「いかにも速そう」なジェット機に似た彫刻の連作「レプリカカスタムシリーズ」を発表している。

解説

深い黒のシンプルな外形の内側に、うっすらと金色に輝くトロフィーが見えます。
<サポート>と題したこの作品は、「芸術を保護する箱」をイメージして考案したものです。中にくり抜かれた黄金のトロフィーの窪みが「芸術」を表し、それを包む半透明の器が「メセナ」を表します。箱の両側が合わさってはじめて中にトロフィーが完成します。メセナ活動の重要性、またそのあり方のようなものを形に表現してみたつもりです。そっと開いて楽しんでいただければ幸いです。また「なんですか、この黒い箱は」と尋ねられるお客様に、御社のメセナ活動について語るきっかけにしていただけることと期待しております。
1999年11月2日 中村哲也

※新しいトロフィーのデザインは、水戸芸術館現代美術センターの協力を得て、若手アーティスト5人による指名アイディア・コンペによってえらばれました。

1991-1996トロフィー制作

多田美波(ただ みなみ)

最近の主な作品

東京芸術劇場レリーフ「調」
東京都新都庁舎彫刻「澪」
紀尾井ホール光造形
東京都高齢者就業センター吊り彫刻「躍」
文化庁芸術祭シンボルマーク、トロフィー制作

主な受賞

ヘンリー・ムーア大賞 / 紫綬褒章 / 勲四等宝冠章 など
(1996年現在)

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